インナーバイザーの是非を考える

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昨今のツーリング向けヘルメットはインナーバイザーがマストアイテムのようになっています。
側頭部のレバー操作一つでサングラスのようなバイザーが降りてきて眩しさを軽減。
スモークシールドいらずで、トンネルや夜間ではバイザーを収納するだけでOKという便利な装備です。
15年くらい前から急速に普及して、今は多くのメーカー・ヘルメットで採用されています。

・・・が、国産ヘルメットの巨頭、アライヘルメットでは採用されていません。
代わりに採用されているのはプロシェードと呼ばれる外部に外付けする小型シールドです。
言わばアウターバイザーとも言えるでしょうか。

しかし、こんな声も聞こえます。

●アライのヘルメットはインナーバイザーが無いのでツーリングに使いにくい
●プロシェードは見た目のスマートさに欠ける

この手の指摘を定期的に見かけます。
ま、当店はオフロードヘルメットしか置いていないので
プロシェードはほぼ触ることがないのですが・・・

というわけで、この記事ではアライがインナーバイザーを
採用しない理由を解説しましょう。

インナーバイザーを採用しない理由

これはとてもシンプルな理由です。

強度が落ちるから

以上です。
画像を確認しながら見ていきましょう。


まずコチラがアライのV-CROSS4の額の部分です。
当然ですがインナーバイザーはありません。シールド付きモデルのTOUR-CROSS Vも同様です。

コチラがTOUR-CROSS V。

 


そしてコチラはWINSのX-ROADヘルメット。
収納されたインナーバイザーがチラっと見えていますね。

そう、当然ですがインナーバイザーを装備するということは、
額にバイザーを収納するスペースが必要になります。
その為にはシェル(帽体・ボディ)とライナー(衝撃吸収材)を薄くする必要があるんですね。
更に言えば、そのスペースは空洞となるわけです。

帽体の作り

元々ヘルメットの開口部というのは構造上弱くなりやすい部分です。
頭頂部や後頭部よりも、開口部は穴の縁なので当然です。
なので、本来ココは補強しておきたい部位というのがアライの主張です。


コチラはアライのシェルのサンプル。
額の部分が赤く塗られていますが、これはFRPで成型された
シェルの中でも、額部分は特に強度を持たせているという意味です。
アライはスーパーファイバーベルトと呼んでいる、
ガラス繊維を重ねて成型するFRP製でも特に強い繊維を貼っているということですね。

裏側から見ても額周りに繊維が重ねられていることがわかります。

ライナーの作り

基本的にライナーも帽体と同じ考えです。

青く着色された額の部分に【最もかたい】とシールが貼ってありますね。
一見1ピース成型のライナーですが、実は部位によって硬度が調整されています。


下から見た図。
厚みもかなり確保されていますね。

シェルとライナー、どちらも強度重視で設計されている

シェルとライナーをそれぞれ見ると、
つまりこういうことになります。

繰り返しになりますが、元々開口部は構造上弱くなりやすいので
それを補うためにそれぞれ強度を高めに調整されています。

過去、二輪車による・頭部への衝撃が原因であるう死亡事故54例を調べた調査で
頭部の衝撃位置を特定できた45例の内訳は以下の通りだったとされています。
(1995年のデータなので少し古いですが、ある程度参考にはなると思います。)

出典:https://fiqh.um.edu.my/index.php/jummec/article/view/4457

わかりやすく言うと、このデータでは
前頭部への衝撃が最も多かったということです。

前頭部=額周辺が最もぶつけやすく、
リスクのある部位であると仮定できるのではないでしょうか。
上記の通りヘルメットにおいても一番強度が
不足しやすい部位なので尚更です。

だからアライは額の強度を落としたくはない

これらのことから、ヘルメットとして頭部を守るためには
額周辺の強度は頭頂部や側頭部以上に高める必要があると言えます。
それなのに、そこにインナーバイザーを仕込むためにシェルとライナーを削り
空洞を作るというのは、ヘルメットの保護性能を損なうというのがアライの考え。

よって、インナーバイザーを採用することは今後も無いでしょうし、
内蔵式が無理なら外付けのプロシェードを採用するというのも納得です。

もっとも、これはアライの考えですし、
ショウエイやWINSがインナーバイザーを採用していたとしても、
メーカーはそれぞれちゃんと安全規格を通しています。
その安全規格だって簡単に合格するものではありません。

ただ、ユーザーがインナーバイザーを求めているのは事実です。
今後もヘルメットの多機能化を求める動きは加速していくことでしょう。

ここまでアライ寄りの記事を書いていますが、
僕自身はアライの他にショウエイも使っています。

なんならスカウター付きのGT-AIR3 SMARTが発売されたら
是非使いたいと思っています。
めちゃくちゃ便利そうじゃないですか。

一つだけ言えば、ヘルメット選びの際にこうした各メーカーの
考えや主張を知っておくと、選択の材料として有力なものになるかもしれません。


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