買い替えのサイクルを考える

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今年も新車を買う男


先日ダープラのDBこと馬場君の納車整備の記事が公開されました。
乗り出す前にやっておきたいことが沢山詰まっているので是非お読みいただければと思います(^_^)

↑アングルがほぼ同じなので分かりにくいのですが、昨年の写真がコチラ

ご存じの方もいらっしゃると思いますが、彼は昨年も新車を購入していました。
可能な限り毎年新車を購入するスタイルです。
一見贅沢なようにも思えますが、選手権を回るようなライダーはこういう毎年買い替えと言うサイクルが一般的だったりするのです。
今回はこのような買い替えのサイクルについてお話します。

新車を毎年買うのがお得で有利


まず、結論から言いますと、せっせと直したりメンテするよりも、1年で売り飛ばして新しいのを買うのが色々な意味で
経済的かつ有利、ということになります。

モトクロッサーやエンデューロレーサーというのは競技用車用であるが故に、
市販トレールバイクに比べサスペンションやエンジンの整備サイクルが短い傾向にあります。
具体的に言えばマディの走行一発でフロントフォークからオイル漏れすることは珍しくありませんし、
1シーズン走れば確実にエンジンのピストンや周辺部品は交換したいところです。

シーズン中には各部ベアリングのグリスアップも数回行いますし、電装系のチェックも必要です。
昔は保安部品の無いモトクロッサーはそうそう電装トラブルってありませんでしたが、
インジェクションとセルが標準になったり、各部の複雑化もあってこの辺りはシビアになりました。

バイクはどのように痛んでいくのか

バイクの痛み方と言うのは走行したことによるダメージの蓄積や摩耗と、
時間経過や保管環境による経年劣化(錆や加水分解)の二つの要素があります。
選手権に出るライダーであれば、走行時間が多いのである程度消耗やダメージの蓄積はあるでしょう。
しかし、基本高年式のバイクに乗っているので経年劣化というのはそうそうありません。

つまり、目に見えるダメージさえ注意して対応していればそうそうトラブルに遭うことはなく乗れるということです。
目に見えるダメージというのは、前後サスペンションのオイル漏れやブレーキパッド・スプロケットの残量・
バルブクリアランスなどですね。
こういう点はわかりやすいところなので、異常が起きても対処しやすいですし、
ポイントを押さえて整備しておけばその異常も未然に防ぐことができます。

しかし、経年劣化によるトラブルというのは中々原因が掴めないことも多くあります。
エンジンのシール劣化によるオイル漏れや配線の硬化による断線、摺動部の固着、樹脂部品のクラックなど。
走行によるダメージと異なり、特定の一か所が痛んでいるわけではないのが厄介です。

そうなると怪しい箇所は全とっかえ、という話になってくるのですが
当然お金も手間も掛かります。それで直したとしても新車や新型にはなりません。

1年落ちならそこまで痛まない


と、いうわけで選手権を回るような勝ちを狙いに行くライダーであれば
毎年のようにバイクは買い替えてしまった方が実は経済的と言えるのです。
1年落ちであれば経年劣化はそこまでないでしょうし、中古車としての価値も
まだまだ高い=売却価格も期待できるでしょう。なにせ1年落ちですからね。

高く売却できた資金に追い金を足すことで新車を購入。
当然新車なので全てのパーツが新品になりますし、最新型の車両でもあります。
部品供給の心配も無ければ、社外パーツも豊富にあるでしょう。

こうしたことからトラブルのリスクも少なく、整備に費やす時間もお金も少なく済みます。
時間というのは目に見えないので気づきにくいですが、ワークスライダーとプライベーターの最大の違いはここにあります。
ワークスライダーはタイヤ交換などの軽作業を除いて整備はメーカーやメカニックの方がしてくれるので
ライダー自身は練習やフィジカルトレーニングなどの身体作りに集中出来ます。
結果、より好成績が出しやすいということになります。

そうは言っても乗りたいバイクがあるんだ

特定の年式の車両に思い入れがあるとか、
新型がしっくり来ないとか、そういった理由があればこの限りではありません。
僕も古いXRをレストアしながら乗っているので、実はこの記事と反対のことをやっています。
部品が無いとか、あってもパーツリストの価格の数倍になっているとか、苦労ばかりです。

でも、趣味なので好きなモノを好きなように乗れば良いと思います。
ただ、毎年新車を買うというのは実は経済的でもあるというのも面白い話ですね、ということで唐突に締めたいと思います。

おわり


寺尾 拓郎

この記事を書いた人

店長

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