オフロードバイク用ニーブレースのパイオニア・POD


PODニーブレースと言えば2026年で登場から20年を迎える
オフロードバイク用ニーブレースとして最も高いシェアを持つ定番の製品です。
近年はニーブレース=PODのような一般名詞に近い扱いすらされている傾向があるPODのニーブレース。
ラップ業界のサランラップ・接着剤業界のセメダインのような存在ですね(???)
どうしてPODがここまでシェアが高く、支持されているのか。
ニーブレースの定義から順を追って解説しましょう。
ニーブレースとは

医療用ニーブレースのイメージ画像(生成AIにて作成)
ニーブレースとは膝関節の動きを縦方向に制限し、
横方向の動きや捻じれ、過伸展(逆関節方向への動き)を防止するものです。
元々は医療器具から生まれた装具ですが、
やがてスポーツにも使用されるようになり、
モトクロスに限らずスノーボードやウェイクボードなど、
転倒時に膝関節に怪我を負うリスクのあるスポーツに有効な装具です。

オフロードバイク用はそれに膝のお皿を守るニーカップやパテラガードと呼ばれる
プロテクターを追加し、関節の保護のみならず、打撃からも守る機能を持たせています。

こちらはPODニーブレースの化粧箱。
対応するスポーツのピクトグラムが記載されていますが、
MTBにスケボー・サーフィンなどなど・・・
ほぼ全てのアクションスポーツに対応すると言って良さそうです。
膝関節を壊すリスク
ニーブレースの必要性
PODに限らずニーブレースはオフロードバイク、
特にモトクロスやエンデューロなどの競技において高い装着率を持っていますが
どうしてここまでの大振りな装具が必要なのでしょうか。
通常、オフロードに限らずバイクの転倒で多くあるのは擦り傷や骨折です。
アスファルトの路面を滑っていけば皮膚が擦りむけるでしょうし、
縁石やガードレールなどに衝突することで骨折もあるでしょう。
その為のプロテクターは各社色々な種類のものが販売されています。
硬質・軟質のパッドに革ツナギなど・・・

しかし、オンロードのジャンルではニーブレースという装具はあまり一般的ではありません。
何故かと言えば、オンロードでの転倒は多くがスリップダウンやハイサイド・他車との接触だから。

(生成AIにて作成)
関節の保護をするにこしたことはありませんが、
どちらかと言えば路面との摩擦と衝突時の打撃に対応するためのプロテクターが多くを占めます。

一方でオフロードバイクにおいてはジャンプなど上下の動きという
三次元の動きが多いため、通常予測不可能な衝撃が膝に掛かります。
その衝撃は単なる打撃ではなく、
横方向の動きや捻じれ、過伸展など様々です。
(一方で摩擦的なダメージは受けにくいので、
革ツナギのような衣類はあまり使用されません。)
こうした要因から、上級者はもちろん・初心者の方であっても
膝関節を壊すリスクは等しくあります。
「ゆっくり林道を走るだけだから」
と言っても、林道はコースには無い倒木や岩がありますし、
ゆっくりでも・ゆっくりだからこそ転倒時にバイクの下敷きになったり、
岩や倒木と挟まれたりすれば膝は簡単に壊れます。
ハイスピードでコーナーを曲がったり、
大ジャンプを飛ぶ上級者が怪我のリスクが高いのは言うまでも無いですが、
初心者でもリスクが変わらないというのはこうした理由からです。

数年前ですが、KLXで林道ツーリングの最中、急に道を横切るように
鹿が飛び出してきて激突し、膝を負傷されたという動画が話題になりました。
その方は特別スピードを出していたわけでも無いのですが、
あまりにも突然の飛び出しだったため回避出来ずぶつかってしまわれたようです。
少々レアなケースですが、林道では鹿も猪も珍しくはないので
こうしたこともありえる、ということですね。
PODを知る
ここまでのお話でPODのようなニーブレースを付けましょう、
という話なのですが、一体PODとはどういうものなのか。
改めてこのニーブレースをよく見てみましょう。
POD K4 2.0ニーブレース


これがPODの最も定番となるK4というモデルです。
後述しますが、上位モデルのK8とメインフレームの防御力はほぼ変わらないので
一般的にはこちらが選ばれることが多いですね。
メインフレーム

本体=メインフレームはグラスファイバーコンポジット製。
ざっくりFRPと認識して頂ければOKです。
非常に強度のあるフレームなので、
直接本体を手に持って力を加えてみてもほとんど変形しません。
変形しにくい=高剛性ということで、確かに強そうです。
当然、現実のクラッシュではもっと強い力が掛かるわけですが、
これがバキッと割れるケースは比較的稀です。
モデルチェンジを含めると15年以上の息の長い商品ですが、
自分が直接見た破損事例ではIA・IBライダーの大クラッシュによる破損が数件でした。
関節部


ここがPODの心臓部たる関節部分。
構造は大変シンプルで、リガメントと呼ばれる人工腱で
上下のフレームを繋いでいるだけです。
ギアや金属プレートなどは一切使用されていません。

このリガメントというのが強度としなやかに変形する性質を
持っていて、膝の動きに合わせてプルプルと動きます。
ベクトラン繊維と言う素材で出来ているそうで、
クラレが開発した鋼の約5倍の強度を持つ合成繊維だとか・・・amazing。
関節が動くというよりは繊維がしなっているだけなので、
膝の動きに渋さや重さは一切感じないのです。
PODは動きが軽い・スムーズと良く言われますが、その理由はこのリガメントというわけです。
構造を知ると動きがスムーズなのも納得ですよね。
耐久性
リガメントの耐用年数はサンデーライダーでおよそ1-2年程度ですが、
逆に言えばここさえ定期交換されていればニーブレースとしての機能は担保されるということ。
補修部品が常時販売されており、交換も簡単なためメンテナンスは簡単です。
メインフレームのFRP素材は数年で劣化するようなものではないので、
大クラッシュによる破損・ベルトや内装面の劣化を除き
メーカーからリガメントが供給される限り、相当長く使えると言えるでしょう。
POD K8 3.0ニーブレース


こちらは上級モデルとなるカーボンフレームを使用したもの。
現行の3.0というモデルから鍛造カーボンとなっています。
なので、織目の感じが独特な模様になっていますね。

カーボンと言えば軽くて強いというイメージで、
実際K8もそれに当てはまるのですが、K4と比較して(メインフレームの)強度に
とても大きな変化があるかというとそこまで大きくは変わりません。
ちょっと固いかな?程度ですね。
フレーム単体の重量はK4比で40-50g軽量ですが、パテラガード(膝カップ)が
肉厚な点もあり、総合的な重量差はさほど変わりません。

大きなメリットとしては素材が強い分、FRPよりも肉厚を薄く出来ること、
S/M/L/XLの4サイズラインナップのによる細かなサイズ設定で
コンパクト・スリムに身に着けられるというポイントでしょうか。
(K4はXS&S/M&L/XL&XXLの3サイズラインナップ)
一世代先の3.0


そして、K8の方は名前の通り3.0と
K4に先行して次世代モデルとなっています。
関節の心臓部であるリガメントが赤い新型に変わっているほか、
パテラガードがクッション性を持ったより防御力を高めた
新タイプになっているのが2.0からの大きな変更点です。

追々K4も3.0になる・・・とは思うのですが、
まだ少し先の話になりそうです。
K4とK8どっちを選ぶべき?
結論から言えばK8は上位互換なので、価格を無視すれば当然こちらの方が
僅かながら軽く、スリムに着用出来るのでメリットはあります。
しかしながら、一番の要である関節の防御力に大きな差はないので、
一般的なサンデーライダーの方や、初心者の方であればK4で十分な性能と言えます。
K8との差額で他のプロテクターを揃える、ということも出来ますしね。
価格を気にしない、最高グレードが欲しいという方はモチロンK8もOKですよ。
サイズ選びと調整・正しい装着方法
それではここからはサイズ選びについてお話ししましょう。
POD以外にも通じるお話なので読んで行って下さいませ。
測定方法と対応サイズ
ニーブレースのサイズ選びで、一番ポイントとなるのは膝周りのサイズ。
もしくは膝の幅です。

膝関節に当たる左右のパッド間の寸法ということですね。
関節を守るのが目的なので、ここに隙間があると防具として機能しませんし、
キツ過ぎても装着が浅くなったり痛くなって付けていられなくなったりしてしまいます。

ダープラにはこうした専用ノギスがあり、
膝の横幅を簡単に測定できるのですが、
一般家庭にあるノギスではちょっと測りにくいかもしれません。
その場合は膝の周囲を測ります。
どちらの測定方法を選んで頂いても問題ありません。


測定方法と測定結果に対応するサイズ表はこんな感じです。
K4の場合、平均身長・体重の成人男性は概ねMD/LGに相当することが多いですね。
この表を元にサイズを選び、更に調整パッドで微調整してフィットさせる形になります。
付属のパッドによる微調整

こちらはK4に付属するパッドです。
手前のお皿形状のパッドは膝関節部分のもの。
右側が厚みのあるタイプ。左側が薄手のタイプです。
後ろにあるパッドは脛部への密着度を高めるためのもの。
これらのパッドを丁度良いフィット感になるように
チョイスしてベストを探ります。

最後は装着するだけ・・・なのですが、
Podはストラップに番号が振られています。
これはストラップを締める順番を推奨したもので、
この順序に従って締めていくことで、自然とベストな位置にニーブレースが固定されるようになっています。
ちょっと気づきにくいポイントですが、装着の際は意識してみてくださいね。

あとは装着してみて、自身が違和感なくバイクに乗れそうか?
長時間でも不快感はないか?など、よく確認して大丈夫そうでしたらOKと言えます。
試着やサイズ合わせは素足やインナーウェアの状態で行うのがベストですが、
極端に厚みがあるものでなければジーンズでも構いません。
オプション
サイズには影響しませんが、付属のパーツでこんな魚の骨のようなパーツがあります。
これはなにかと言うと、関節の最伸位置に制限を掛けるためのもの。
常に膝に古傷がある方などはセットしておくと良いですね。

こんな感じに関節部に差し込んで使用します。
差し込みにくい場合は薄くグリスを塗っておくと簡単に差し込めますよ。
まとめ
というわけで、PODニーブレースのK4 2.0とK8 3.0のそれぞれの特徴と違い。
そしてサイズ測定と装着時のポイントをお話させて頂きました。
どちらも安い買い物ではないので、しっかり測定ないし試着してサイズを選んで
自分に合わせたセッティングをして装着したいところですね。
ニーブレースをしっかり装着出来ていれば、
膝周りの怪我のリスクは大幅に軽減出来るので、安心してライディングに集中できます。
守りがしっかりしていれば、安心してアグレッシブに攻めることもできるので、
結果的にスキルアップに繋がるという効果もあるかと思います。
ダートバイクプラスの実店舗では各サイズご試着頂けますし、
オンラインストアでも購入後のサイズ交換サービスなどを行っておりますので、
実店舗でも通信販売でもお気軽に試して頂けます。
また別の記事ではメンテナンスについてお話したいと思います。
それではまた。











