ハイエンドと言えるゴーグルに求められるもの
15年ほど前のオフロードゴーグルはおおよそ一万円程で各メーカーのハイエンドモデル(最高グレード)が
手に入ったかと思います。
しかし、10年ほど前からでしょうか、ゴーグルの進化と共に価格も上昇してきて今や2万円を超えるモデルも珍しくありません。
物価の上昇や円安の影響も大いにあるでしょうが、進化のスピードもこの10年はとても早かったように感じます。
今回はそんなハイエンドゴーグルの共通点や特徴を探っていこうと思います。
国内で買いやすいメジャーなブランドとは
まずはブランドを絞って比較するために、代表的なブランドを選定してみましょう。
●100%
海外シェアNo.1です。国内でも良く見かけますね。
●SCOTT
こちらはオフロードカテゴリに限らずスノー・サイクル業界でも定番のブランドです。
●FOX
オフロードギアの総合力ではNo.1ブランド。
●alpinestars
満を持してゴーグルを投入してきた、ブランドとしては定番の大手。
この辺りを押さえておけばまず間違いはないかなというところです。
オークリーも海外では結構見かけるので比較したいところですが、
国内でハイエンドモデルのAIRBRAKEはほぼ流通していないため除外しています。
メジャーブランドのゴーグルをチェックしてみる
それでは、上記でピックアップした
メジャーブランドのゴーグルをそれぞれ見てみたいと思います。
各社色々な工夫が見て取れて面白いですよ。
100% ARMEGA
まずは100%のARMEGA。
箱からしてゴージャスな100%ブランドの最高峰。
厳密に言うとこちらはARMEGA HIPERという真のフラッグシップモデルです。
レンズが大きく、その面積はそのまま視界にも反映されており広い視野を確保。
フレームに被さるような形で装着されたレンズは厚みがあって強度も十分。
レンズは全て射出成型によってぶ厚く・最初からカーブを付けて成型されています。
先述の通り、フレームに被せる形で装着し、左右の爪でロックする構造。
レンズをロックする爪状のパーツ。
操作性は中々良好です。
大きなアウトリガーと幅広タイプのストラップ。
欲しい機能は全て備えたゴーグルと言えるでしょう。
SCOTT PROSPECT2.0
昨年モデルチェンジしたばかりのPROSPECT2.0です。
下田丈選手も愛用するブランドかつモデルがこのシリーズとなります。

PROSPECTのレンズは一般的な厚みでフラットなタイプ。
ただ、レンズには上下左右四か所のスリット穴が設けられていて、
この穴に凸上のモールドをはめ込む形でレンズの保持力を上げています。

アウトリガーを前方に動かすことでレンズのロックを解除。
あとは通常のゴーグルのようにフレームを広げることでレンズの着脱が出来る構造になっています。

こちらもアウトリガーが大型で、ヘルメットに干渉せずに
ゴーグルの着圧を適正に保ちます。
SCOTTのゴーグルは不思議とアーチが緩めの設計なので、
欧米人に比べ彫りが浅い傾向にある日本人の顔へのフィット感も良好です。
FOX・VUE
FOXのハイエンドモデルがVUEゴーグルです。
常に攻めの姿勢で挑戦的な製品を投入してくるのがFOXで、
このVUEゴーグルも販売開始から既に数年経っていますが、当時は中々に革新的でした。
分厚い射出成型レンズやフレームに被せる方式をいち早く採用したのもFOXです。


レンズの着脱は非常に簡単で、フレームに被せたレンズをアウトリガーで押さえる形で固定します。
シンプルにして確実な方式ですね。
複数ゴーグルをお持ちの方はアウトリガーごと交換することで
オリジナルのカスタムも可能な作りです。
他メーカーのハイエンドモデルに比べるとアウトリガーの張り出しは少なめ。
alpinestars・SUPERTECH
先日紹介記事も書きましたが、
alpinsestarsが気合を入れまくって開発・投入したのがこちらのゴーグルです。
ライバルを徹底的に研究したであろう、良いとこ取り+オリジナル要素を加えたような設計。


レンズは厚みのある射出成型タイプ。
これを被せる形でフレームに装着して・・・

左右のスライド式ロックで固定します。
左右の赤いパーツが斜めにスライドすることでレンズのスリットに固定されるわけですね。
この辺りもこれまで紹介したライバルブランドの良いところを集約したように見えます。
実物を触って比較した感触としては、最もレンズ交換がスピーディに出来るのはこのゴーグルでした。
アウトリガーは大きめにデザインされています。
軟質素材と硬質素材を組み合わせたフレーム構造により、
顔へのフィット感も彫りの深さに影響されず良好です。
共通点を探る
以上、メジャーブランドのゴーグルの特徴をそれぞれ確認してみましたが、
各社独自のアイディアが盛り込まれている一方で、共通する要素もいくつかあることがわかります。
●ワイドレンズで広い視界
これはわかりやすいところですね。ハイエンドモデルはどれも大型で、
レンズも比例して大きめになっています。
●射出成型による極厚レンズ・各自なロック機構による固定。

SCOTTを除き1.5mm程ある厚みの湾曲した状態で成型されたレンズを装備しています。
厚みがあるレンズを曲げて装着すると視界の歪みが発生するため、最初から曲がった形で成型されているのがポイント。
そうしたレンズをピン固定やロックを被せる形で固定することで、
大きな石や速度の速い飛び石がヒットしてもレンズが貫通せず、しっかりと目を守る防御力を備えています。
●アウトリガー
これは昔からハイエンドモデルには概ね装備されていたポイントです。
ゴーグル本体からストラップを伸ばすのではなく、
左右にオフセットさせるアウトリガーと呼ばれるアーム越しにストラップを伸ばすことで
ヘルメットの縁に干渉しない形でゴーグルを顔にフィットさせることが可能になります。
適切な着圧が掛かると驚くほどフィット感が向上します。
●上下幅の広いワイドストラップ
各社スタンダードモデルより5mm-10mm程幅広のストラップを装備しています。
これはシンプルにヘルメットとの接触面積を増やしてストラップのズレを防ぐ狙いですね。
ポイントはこの4点
現在のハイエンドモデルの共通点は、概ねこの4点がポイントかな、と思います。
昔のゴーグルでは顔に当たる部分のスポンジがグレード別に大きく差別化されていましたが(今もそう)
現在はどのゴーグルも三層・四層の良いものが付いているので大きな差は感じなくなっています。
また、ノーズガードの有無もグレードの判断材料だった時期もありましたが、
これはゴーグルの大型化に伴いヘルメットとの干渉が増えてきて、
結局外すことも多いので(ゴーグルかヘルメット・どちらか一方にあれば良い)
現在はゴーグル選びの判断材料としてはそれほど重要では無いかな、と思うところです。
その他、あとはオプションの豊富さなども気になるポイントですが、
今回ご紹介したゴーグルはどれもオプションレンズは勿論、
ティアオフなども充実しているのでこの点も心配無用です。
記事の冒頭でもお話しましたが、この10年でゴーグルは大きく進化しました。
それにより価格も上昇している面は否めませんが、
技術革新の時期に立ち会えるのは、用品マニアとしてはとても面白いなぁと感じます。
皆さんも自分の推しゴーグルを探してみてくださいね。
各社の拘りを意識して比較してみると、より用品選びが楽しくなりますよ。