ダートフリークのオリジナルブランド・CROSS SECTIONからE-MTBが発売になりました。その名はe-EDIT。
E-MTBっていうのは電動アシスト機能を備えたMTB=マウンテンバイクです。
E-MTBってなんぞ
E-MTBと言うのは一般的な電動アシスト自転車(ヤマハのPASが代表的ですね)や
近年都会でよく見かけるモペット(ペダルが付いているけど漕がなくても進む原付扱いの自転車)、
自転車にモーターとバッテリーを付けた乗り物という構成は、それぞれ似ているようで異なるものです。
じゃあどんな乗り物なの?って言うと、
マウンテンバイクをベースに電動アシスト機能を持たせたものがE-MTBと思って頂ければOKです。
なのでELECTRIC-MTBということ。
ま、広義では電動アシスト自転車でも間違いではないですね。
MTBを名乗るからには高い強度を持っている必要があり、
実際にオフロードを走れる車体や各種装備も本格的なモノになっています。
ここがママチャリベースの電動アシスト自転車との大きな違いですね。
あくまでスポーツ用の乗り物、という位置づけです。
そしてダートフリークで自社開発したE-MTBがe-EDITというわけです。
内蔵されたモーターと、フレームに添うように装着されたバッテリーにより、ライダーのペダリングをアシストします。
ダートフリークは長いこと自転車部門があるのです
ご存じの方はご存じですが、ダートフリークには自転車部門が存在します。
自転車部門が始まって、2025年現在で13年くらいでしょうか。
FOXの自転車用品の取り扱いから始まり、オリジナルのフレームやパーツとして
LITECというブランドを展開していたりもしました。
LITECは現在は展開終了したブランドになってしまいましたが、
製品の出来は良く、評判も良かったと記憶しています。
ダートフリークって、車体設計は昔からお手の物だったのですね。
キッズ向け自転車としてご好評頂いているヨツバサイクルも自社開発の自転車です。
これも単なる自転車と侮ることなかれ、アルミフレームの車体は
しっかりオフロード走行に耐える仕様になっているのです。
で、どうしてE-MTB?
乗り物の定義やダートフリークが自転車作りを得意としていることはわかった。
それで、なんでダープラでE-MTBなの?という疑問ですが、
これが普段はエンジンバイク(以下バイク)に乗っている方にも面白いんじゃない~?と思ったからなのです。
普段モトクロッサーやトレールバイクに乗っている身からすると、
自転車は中々ハードな乗り物に感じます。当たり前ですが人力ですから。
都会はともかく、ダートフリークのある愛知県瀬戸市は山に囲まれた地域のため、
どこへ行くにも山を越え谷を越え・・・結構ハードなんですよ。
MTBに乗って林道ツーリングということも、数回したことはありますが、
公道に比べオフロードはもっとハードです。
何気ない路面のギャップや起伏を乗り越えるための負荷が全て自分に掛かってくるので、
バイクだったらなんでもない路面が吐くほど辛い・・・そんな経験でした。
しかし、E-MTBは違います。
3段階に調整可能なアシスト機能で、スイスイとオフロードを走っていくことが可能です。
もちろんアシストですから、斜度によっては頑張って漕がないと進めない場面もありますが、
それでも気持ち良い運動程度の負荷がほとんどです。
軽いギアに変速して、BOOSTという最大パワーのアシストをかければかなりの斜度でもグイグイ進んでいきます。
こりゃ~快適だわ~とちょっとしたカルチャーショックを受けました。
下りはご褒美・登りは辛いというイメージだったMTBが登りも楽しく乗れるのです。
これは嬉しい・・・。
いやいや登りの負荷を楽しみたい・トレーニングなんだよ負荷を下げてどうする
という場合はアシスト力を抑えれば良いのです。
それでヘバってしまったら、そのときはアシストに助けて貰えれば良いですしね。
これらのことは公道走行においても言えます。
起伏の激しいワインディングを、アシストを調整しながら走れば
キツい登りのあるルートも気兼ねなく選べると思うと、行動範囲が一気に広がって楽しいじゃありませんか。
オフロードライダーの身近な用途
E-MTBは上記の様に、公道や林道をツーリングするのはもちろん楽しいでしょうが、
レース会場での移動やエンデューロでの下見にも役立つ乗り物です。
JNCCのようなスキー場などの広大なフィールドをコースとするレースの場合、
下見は重要な事前準備であるものの、非常にしんどいものでもあります。
会場によって異なりますが、徒歩での下見は1周まわるのに2-3時間は掛かるイメージかな。
もちろん、セクションをじっくり観察しながら移動するので、
ずっと歩きっぱなしというわけではありませんが、それでもちょっとした登山と言える運動量ですね。
これがE-MTBで周れたら・・・とっても楽になるはずです。
気になるセクションやギャップがあれば止まれば良いですし、バイクに近いMTBで
実戦をイメージしながら周るのも良いでしょう。
これってかなり魅力的だとは思いませんか。
実際、ヤマハやファンティックのE-MTBで下見をしているライダーを会場で見かけますが、
スイーっと進む様子はとても気持ちよさそうです。
エッチラエッチラと登山してレース前に疲れすぎるのもあまり好ましくありませんし、
こうした用途にもE-MTBはかなり有用かと思うのです。
しかし、既存のE-MTBは中々に高価です。
画像のヤマハ・YPJ-MT Proは税込み定価748,000円。
前後にサスペンションが付いたフルサス仕様だったり各種装備も非常に豪華なので
内容と価格のバランスは取れているものの、モトクロッサーに匹敵する車体価格は
購入を躊躇する面もあるかと思います。
目指したのはセローのようなE-MTB
そこで、e-EDITの価格ですが、税込み297,000円。ほぼ30万円です。
結構お安いんでないの~?と思う価格帯です。
サスペンションは付いていませんし、豪華装備というわけでは無いので
他社製品に単純に安いと言い切れるわけではありません。
しかし、入門向けMTBが10万円~という価格帯と考えると、
E-MTBで30万円というのは魅力的な金額かなと。
フロントフォークは換装を前提としてシンプルなリジットタイプとなっていますが、
お好みで好きなフォークに変えればオフロード性能は上がりますし、
公道メインのシティユースであればサスは不要でもあります。
他社製品が戦闘的なモトクロッサーだとすれば、
e-EDITはセローのようなトレールバイクの位置づけですね。
アシスト機能のパワーはいかほどか
ここまで色々と定義などをお話しましたが、アシスト機能のパワーはどのくらいか?
気になる方も多いと思います。
これは結論からいうとアシストパワーには規定があり、その範疇に収まるように設定されています。
日本の道路交通法では、E-BIKEのアシストが有効なのは時速24kmまでと定められています。
具体的には、時速10kmまではペダルをこぐ力の2倍のアシストがあり、
その後は徐々にアシストが減少し時速24kmを超えるとアシストがゼロになる仕組みです。
と、いうことです。
つまり、24km以上のスピードで走行中はアシストが作動しないため、
重いギアで思いっきりペダルを回していたり、下りを攻めているような場面ではアシストの恩恵は受けられないのです。
まぁ、下りではそもそもアシスト不要でしょうけど・・・。
一方で、低速で坂を登るような場面では速度が10km以下というのはザラでしょうから、
大きなアシストを受けられます。
ざっくり言えばしんどい場面では助けるよ、というのがE-BIKE(E-MTB)の定義というわけですね。
E-BIKEは、道路交通法的に見て、時速15~20km/hほどが最も楽しく効率的に利用できる範囲です。
スピードを求めるというより、のんびりと風を感じながら自転車を楽しみたい方に特におすすめです。
アシストの出力には三段階の設定があります。
なので、上記のアシスト出力はBOOSTと呼ばれる最大出力の設定における話なのですが、
その場の負荷に応じてパワーを切り替えながら走って頂ければ、というところですね。
当然ながら、出力とバッテリーの持ちは反比例しますので、
一番控えめのアシストであるECOモードでは110km程度走行可能とされていますが、
最大出力でアシストするBOOSTモードでは45kmとなります。
ここは目的地までの距離感や負荷と相談しながら調整するイメージですね。
実践してみましょう
文章での解説はこのくらいにして、実際に走って試してみようと思います。
丁度良い距離感の登り坂が会社から近い距離にあるので、この「坂」でどのくらいアシストしてくれるのか。
とはいえ、どのくらいしんどいのか・あるいは楽なのかは個人の感想になりやすく
WEB上で伝えることは中々難しいです。
そこで、数値として見やすい心拍数で計測してみようと思います。
成人男性の安静時の心拍数は60-80程度。
軽度の運動で120-130、ややきつい運動で140-150程度だそうです。
160以上はかなりきつい運動ということで、坂を登っている最中の心拍数で
どのくらいしんどいことをしているか判断出来るということですね。
必要以上にスピードを求めると心拍数に影響が出てしまうので、普通のペースで登ることを意識して走ります。
今回走るライダーは私寺尾・・・ではなくスタッフ馬場君にお願いします。
27歳、日常的にモトクロスとフィジカルトレーニングをしている健康体のモルモットです。
と言うわけで動画をご覧ください。
テストに使うのは会社から5分の距離にある坂で、そこそこキツい勾配がずっと続く道になっています。
車の通りも少なく、ちょっとしたトレーニングや今回のようなテストにはうってつけなのです。
走り終えた馬場君、余裕の表情です。
キツイ勾配がずっと続くこの道を涼しい顔で走破出来るのはアシストの力ですね。
スピードも終始変化は少なく、安定した走りでした。
気になる心拍数はこんな感じ。
最大で153まで上昇、平均値としては119です。
120は軽度の負荷と言える数字です。文字通り一部区間を除いて軽度の運動強度(ジョギング程度)だったということですね。
アシスト無しの自転車だったらかなりハードだったはずなので、
概ね期待通りの結果と言えるでしょう。
これがトレーニングとして運動強度を上げたい場合は、アシスト出力をBOOST→NORMALに、
更にハードに走るならNORMAL→ECOに変更すればOKです。
これはとても面白い乗り物ですね。
日常の足として、レース会場での下見や移動手段として、トレーニングアイテムとして、
色々な使い方が楽しめる自転車です。
ダートバイクプラス瀬戸店・大阪店では試乗車もご用意しておりますので
ご興味のある方は是非お試し頂ければと思います。