仮面ライダーとオフロードバイク・クウガ

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※この記事は完全なる趣味の記事となっております。

西暦2000年から始まり、今も続いている平成仮面ライダーシリーズ。
今は元号が令和に代わりましたが、継続シリーズとしては20年を超える長期のものになりました。
そして、仮面ライダーと言えばバイク。そしてオフロードバイクの割合が多いのが特徴です。

何故仮面ライダーと言えばオフロードバイクなのか、と言えば
アクションシーンに使いやすい、ということが第一にあります。
ジャンプ・ウイリー・アクセルターンなどは定番のバイクアクションで、
言ってしまえば仮面ライダーのバイクアクションってほとんどがこの組み合わせです。

昔の仮面ライダーのバイクアクションは大体こんな感じ

また、平成ライダーではさほど多くありませんが、
昭和ライダーは毎回採石場でのアクションが定番だったので、
オフロードを走る割合が多かったこともオフロードバイクの出番が多かった理由の一つと言えるでしょう。

そして今回のテーマでもある「仮面ライダークウガ」です。
これは2000年に制作された平成仮面ライダーシリーズの第一作で、
昭和ライダーシリーズ最終作である「RX」から10年以上のスパンを置いて復活した
テレビシリーズと言うことで、様々な新要素が盛り込まれました。

その一つが、バイクアクションの見直しです。
上記にも書いたように、従来のバイクアクションというのは
ジャンプ・ウイリー・アクセルターンの組み合わせがほとんど。
背景の爆破などで絵的にはそれなりに派手ではあるものの、
毎度同じことをやっているなぁ、と言う印象は否めませんでした。

ところがクウガは違います。
まず、バイクがこれまで一部を除きスズキ製だったところをスペインGASGASの
エンデューロマシン・パンペーラ250を採用しました。

このパンペーラと言うバイクは、今でいうKTMのフリーライドやMONTESAの4ライドのような
トライアル寄りの性格を持っていたバイクです。
現代のようにハードエンデューロとかエクストリームエンデューロという文化はまだ無かった時代ですが、
トライアルバイクの航続距離の伸ばすためにビッグタンクとシートを備えたバイクというのは一定の需要がありました。
近い年代のバイクで言えば、TY250Zなどが似たコンセプトかな?


これをベースに装飾を取り付けて劇中に登場したのがこのトライチェイサー2000です。
見ての通り、大がかりな改造はフロントカウルとサイレンサー程度で、
極力重くなる装飾は抑えられていることがわかりますね。

側面から見てくの字になっていない独特のフレーム形状。
この車体がモトクロッサーやエンデューロマシンベースの考えで作られていないことが見て取れますね。
また、サイドスタンドが右側に付いているのは昔の外車に多かった仕様でした。

権利関係の問題か、このオモチャにはクランクケースカバーにGASGASの文字はありませんが、
それっぽい彫りはあるのが面白いところ。

こうしてアクション重視として用意されたトライチェイサーは
従来はRH250やDR250Sなどのトレールバイクがベースだったライダーマシンに比べ
圧倒的なアクション性を見せてくれました。
エアターンや足つきフローティングターンを使った「前輪パンチ」
ジャックナイフターンを使った「後輪キック」
ガレ場をガンガンに攻めたり、車を上り下りしたりと見ごたえ十分です。
当時中学生だった筆者は「早く降りて戦ってよ」と思っていましたが、当時の子供の
目にはどう映っていたでしょうか。



後年、前輪パンチはライアン・ビロポートが練習中の乱闘でジェイソン・ローレンスに使用しています。

 

 

こうした斬新なバイクアクションを担当したのは、トライアルライダーIASの成田匠選手。
従来はタケシレーシングというカースタント専門の事務所に所属する
スタントマンが担当していたところを、まさかの当時現役トップライダーだった
成田選手を起用するという大胆さ。

派手なアクションシーン用にはブーツも通常の衣装では無く、
トライアルブーツを改造したものを用意する徹底ぶり。
派手なアクションシーンではブーツのディテールが通常と異なることが確認出来ます。

劇中の中盤。トライチェイサーは消耗により後継機のビートチェイサー2000
乗り換えられることになりますが、ここでは豪華にももう一台パンペーラが用意されました。
しかし、パワーアップを表現するためなのか、装飾が少々増えて重そうに。
この乗り換え以降、あまり派手なアクションが見られなくなってしまったのは残念なところです。

クウガの劇中では、トライチェイサーとビートチェイサーの他に、パンペーラベースの車両が2台登場します。
1台はトライチェイサーの白バイ仕様・「トライチェイサー2000A
もう1台は敵の怪人が乗る「バギブソン」です。

白バイ仕様の2000Aは量産型=やられ役で大した出番はありませんが、
バギブソンはクウガと壮絶なバイクアクションを見せてくれました。
敵の怪人を演じるのはクウガ役・成田匠選手の弟である成田亮選手。
海辺のロックセクションでトライアルライダー2人が激しい戦いを見せてくれます。
今の目で見てもエンデューロマシンでこれは難しいだろうなぁ、という攻めた動きで非常に面白いですよ。
32話「障害」必見です。

その後、クウガの撮影終了と共に、東映にて長らく保管されていたトライチェイサー。
長期の放置が祟り不動になってしまっていました。
昔は撮影を終えた車両を動態保存する必要が無かったので、管理状態が悪かったのです・・・。
しかしその後、2009年の「仮面ライダーディケイド」にゲスト出演することになり、レストアされ再び活躍するようになります。
その後も映画などで度々登場しているので、現在は好調な状態をキープ出来ていると思われます。

因みに、通常こうしたライダーマシンというのは
展示イベントやキャラクターショーなどで全国を回ることが多いのですが、
トライチェイサーに関してはRMXベースやRM125(250かも)ベースのレプリカの展示がほとんどでした。
現車が希少だから?詳細は不明ですが、レプリカが複数存在するのもトライチェイサーの特徴で、
パンペーラベースの撮影用車両は中々お目に掛かれないのでした。

一方でビートチェイサーは長らく東映太秦映画村に展示されているので、その気になればいつでも見られる状態にあります。
興味のある方は展示の有無をご確認の上、足を運んでみてはいかがでしょう。


寺尾 拓郎

この記事を書いた人

店長

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