エアクリーナーのメンテを侮るなかれ


オフロードバイクの吸気周りは過酷


dfシャチョー号こと、YZ250FXのエアクリーナーエレメントです。
先日のダープラカップにて、10分のレースを2ヒートと練習走行の合計一時間程度の走行でこの汚れようです。
特別埃っぽい日だったわけでもありません。
オフロードコースを走るとこのくらいは汚れるものなのです。
・・・強いて言えば、レースだけに前走車が巻き上げる砂が飛んでくる、というのは一つあるかもしれません。


一方、裏面には一切砂も埃も付着していません。
このフィルターで完璧に砂や埃の侵入を防いでいるのがわかりますね。
これがロードレーサーの様にむき出しの吸気口だったら・・・考えたくありません。

オフロードバイクにおいてエアクリーナーのメンテナンスはとても大事なのです。

エアクリーナーの種類と扱い方

湿式

まず、競技用オフロードバイクは全て湿式のエアクリーナーエレメントを使用しています。
湿式というのはスポンジタイプのエアクリーナーに専用オイルを塗布して使うもの。
オイルで濡れているので湿式と言います。
汚れたら洗って、オイルを再塗布して繰り返し使用できます。

乾式

一方乾式はろ紙のような紙を通して埃を遮断する方式で、オイルを塗布したりはしません。
故に乾いている=乾式と言います。トレールバイクの純正はこの方式が多いですね。
洗ったりすることは出来ず、埃を払う程度のメンテナンスは可能ですが、
ある程度汚れたら交換します。扱いとしては使い捨てですね。

湿式エアクリーナーの扱い方

湿式には前述の通り、専用のフィルターオイルを塗布する必要があります。
これが結構塗られていないバイクを目にしますが、その状態でオフロードを走ると埃がエンジンまで通過してしまうので
エンジンを痛める原因になります。まだらに塗布されているのも同じで、
オイルが行き渡っていない箇所があるとやはり埃を通してしまいます。これもあるあるです。

このような専用フィルターオイルを塗って、しっかり揉み広げてエアクリーナー全体に行きわたらせて使用しましょう。
専用のオイルは塗布してしばらくすると、粘度が増して糸を引くような状態になります。
これが砂や埃をキャッチして、スポンジの表面でせき止めてくれるというわけ。

サービスマニュアルなどを読むと、エンジンオイルを塗布と書いてあったりしますが、
エンジンオイルでは全然駄目です。必ず専用のフィルターオイルを使用しましょう。粘性が全く違います。

で、走行後は専用の洗剤でエアクリーナーを洗います。

洗浄用のバケツ・もしくはビニール袋を使用して洗剤にエアクリーナーを浸して揉み洗いします。
ここで捩じるように絞ったりするとスポンジが痛むのでご注意を。あくまで揉み洗いです。
美味しい唐揚げを作るイメージで揉んで下さい。

ここで灯油やガソリンで洗うという話を度々聞きますが、
専用の洗剤に比べ落ちが悪かったり、組み合わせによっては乳化してさっぱり落ちなかったり、
落ちてもスポンジを痛めたりとあまり良いことがありません。
少し高くついても専用の洗剤=フィルタークリーナーがオススメですね。

こうしてエアクリーナーを洗ったら、乾燥させた後に
フィルターオイルを塗布してまた再使用・洗浄の繰り返しです。数十回は普通に使えますよ。
ただ、長く使うとスポンジに破れが出てたり、
スポンジケーキのようにポロポロと崩れてくるので定期的な交換は必要です。

全部入りセットが便利

エアクリーナーのパイオニアであるTWINAIRからは、メンテナンスに必要なものが全部入った
メンテナンスキットという便利なものが販売されています。

これは良いですよ。フィルターオイルにダートリムーバーと呼ばれる洗剤、
オイルの揮発を防いで保管できる塗布用バケツに、洗剤を補完出来るバケツも付いています。


このようにドブ漬けで塗布すれば塗りムラが出ることはありません。
密閉できるので溶剤の揮発も防いでくれます。


洗剤を入れるバケツにはハリガネが二つ入っています。
オレンジのハリガネはバケツの底に沈殿するヘドロがエアクリーナーに再付着しないよう、底上げするためのもの。
黒いハリガネは少し漬け置きしたいときに、エアクリーナーが浮いてこないように抑えておくためのものです。

こういうのはホームセンターではそう手に入らないので、専用品がオススメですね。

以上、エアクリーナーの種類と扱い方についてのお話でした。
エンジンの保護に非常に大切なことなので、適切にメンテナンスして乗りましょう~

動画版もあるのでこちらも一緒にどうぞ


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